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「国税庁 移転価格ガイドブック公表~2017年7月より企業訪問開始」
(日本の税制)

移転価格税制の基礎 (7)
「国税庁 移転価格ガイドブック公表~2017年7月より企業訪問開始」
(日本の税制)

2017年(平成29年)6月9日、国税庁が「移転価格ガイドブック~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」を公表しました。

 

移転価格文書化制度においては、2017年(平成29年)4月1日以後に開始する事業年度より、「ローカルファイル」を確定申告書の提出期限までに作成・保存するという、「同時文書化」が義務化されています(取引規模による免除規定あり)。

 

このガイドブックには、同時文書化対応ガイド(ローカルファイルの作成サンプル)が掲載されていますので、移転価格文書化を行う際の実務の手引きとして役立ちます。

 

また、「ガイドブック」としながらも、本年(平成29年)7月に、国税局に同時文書化対象取引に関する「相談窓口」が開設されること、及び、同7月より、税務調査官が、移転価格文書化制度に関する指導、助言のために「企業訪問」を開始することの告知も行われています。

 

◆移転価格ガイドブックの内容

移転価格ガイドブックの項目は以下のとおりです。

  1.   移転価格に関する国税庁の取組方針
  2.  移転価格税制の適用におけるポイント
  3. 同時文書化対応ガイド(ローカルファイルの作成サンプル)

 

◆相談窓口の開設(2017年(平成29年)7月より)

ガイドブックでは、同時文書化対象取引(年間受払合計50億円以上(無形資産の場合は3億円以上)の海外子会社等との取引)に関する個別照会に対応する相談窓口を、東京・大阪など全国12か所の国税局・事務所に開設するとしています。

 

個別照会の対象となる照会には一定の範囲が設けられていますが、文書の作成過程で疑問が生じる場合の、一つの解決手段となるでしょう。

 

◆移転価格文書化制度に関する指導、助言等のための企業訪問の実施(2017年(平成29年)7月より)

ガイドブックでは、国税調査官が同時文書化義務の対象見込みの企業(海外子会社等との取引が年間50億円以上(無形資産の場合は3億円以上)あることが見込まれる企業等)を訪問するとしています(訪問前に事前に電話で日時等の連絡あり)。

 

同ガイドブックは、企業訪問は「特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する」目的で行われる税務調査ではないとしています。それでも、移転価格税制全般についての取組状況や同時文書化対象取引の概要の聴取、ローカルファイルの記載内容の確認・ヒアリングが行われますので、企業担当者の応対の負担は小さくありません。けれども、移転価格調査での着眼点や想定される指摘事項等の助言が必要に応じてなされるなど、文書化を推し進めて行く上で有益なものです。よって、企業訪問は文書化推進の良い機会ととらえて、積極的に活用することが望まれます。

 

なお、この企業訪問でローカルファイルの記載内容につき指導を受けた事項について、改めて検討するよう勧告されます。また、後日の移転価格調査を含む税務調査やローカルファイルの作成状況等を確認するために企業を訪問する際に、指導、助言等を行った事項の対応状況について質問確認を行うことがあるとされていますので、注意が必要です。

 

◆今後の対応

海外子会社等との取引の年間受払合計が50億円以上(無形資産の場合は3億円以上)の企業は、企業訪問を「プレ税務調査」と位置づけ、それが税務調査の呼び水とならないよう同時文書化を推進することが肝要です。

 

海外子会社等との取引の年間受払合計が50億円未満、かつ、無形資産取引が3億円未満の企業は、企業訪問の対象とはなっていません。けれども、同ガイドブックを参考に文書化を行い、税務調査で移転価格関係書類の提示・提出要求があった場合に即時に対応できる体制を作っておくことが望まれます。

 

以上

 

【初掲載】

企業情報ウェブサイト 「イノベーションズアイ」 コラム 「中堅企業にも求められる移転価格税制対応」シリーズ」第13回 2017年6月30日

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