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-出国税、海外デジタルコンテンツへの消費税課税など(日本の税務)

H.27 税制改正大綱(国際課税関係)
-出国税、海外デジタルコンテンツへの消費税課税など(日本の税務)

昨年(2014年)12月30 日、自民党・公明党は、2015年度税制改正大綱を決定しました。

 

大綱は国際課税に関して、G20・OECDの枠組みにおける国際的な租税回避防止の取り組み(BEPS行動計画等)を踏まえ、国境を越えた取引(クロスボーダーの取引)や人の動きに係る課税の適正化を図るという基本的考え方をとっています。主な内容は以下のとおりです。

 

IMG_0360タイ3(タイ)

 

1.国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し

 

「国内外の事業者間の競争条件の公平性を確保する観点から、国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引を消費税の課税対象とする。」

 

2014年12月19日のブログ「日本で海外電子書籍にも消費税が課せられる!」で述べましたように、国内外の事業者間で競争条件を揃える観点から、海外からインターネットで配信される電子書籍・音楽等のコンテンツ(デジタルコンテンツ)に消費税を課すものとしています。

 

たとえば、米国アマゾンや楽天「kobo」など、海外にサーバーを置く事業者からのデジタルコンテンツの購入について、日本に住所のある消費者は消費税を支払う必要が生じます。

 

施行は2015年10月1日とされています。

 

 

2.外国子会社配当益金不算入制度の適正化

 

「国際的な二重非課税を防止する観点から、外国子会社の所在地国において損金に算入される配当を外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外する。」

 

内国法人が外国子会社(持ち株割合25%以上等の要件を満たす外国法人)から受ける配当等の額で、その配当等が外国子会社において損金算入されている場合、当該配当等については外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外するというものです。

 

ここで、外国子会社配当益金不算入制度とは、外国子会社から日本の親会社に支払われる配当(外国において法人税が課された後の利益から支払われる)については、親会社の益金に算入せず、課税しなというものです。日本と外国で二重に課税されるという、いわゆる国際的二重課税を排除することがこの制度の趣旨です。

 

ところが、オーストラリアの優先株式などは、外国において損金に算入され非課税となっているため、日本でも益金に算入されないとなると二重に非課税となってしまいます。

 

このような国際的二重非課税を解消するために、大綱では外国で損金算入が認められる配当には、外国子会社配当金不算入制度の対象から除外しています。よって、当該配当は益金に算入されることになり、また、配当に対する外国源泉税は損金算入され外国税額控除の対象となります)。

 

 なお、この改正については、「平成28年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が外国子会社から受け取る配当等の額について適用する。」としていますが、「平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法人が外国子会社から受ける配当の額(平成28年4月1日において有する当該外国子会社の株式等に係るものに限る。)については、従前どおりの取扱いとする。」とされています。

 

したがって、平成28年4月1日現在保有する株式等に係る配当については、適用が2年間猶予されます。

 

 

3.出国時における譲渡所得課税の特例の創設

 

「国境を越えた人の動きに係る租税回避を防止する観点から、出国時における株式等に係る未実現のキャピタルゲインに対する譲渡所得課税の特例を創設する。これにあわせて、現行の財産債務明細書について、所得税・相続税の申告の適正性を確保するため、記載内容を充実するなどの見直しを行う。」

 

2014年12月10日のブログ「日本でも富裕層の保有株式への出国税を検討」にもありますように、一定規模の株式等を保有する富裕層を対象に、保有株式等へ「出国税(Exit Tax)」を課すものとしています。

 

この「出国税(Exit Tax)」は、日本の個人富裕層が日本を出国して非居住者となる際に、保有する株式等の含み益(未実現のキャピタルゲイン)に課税するというものです。

 

租税条約上、株式等のキャピタルゲインについては、株式等を売却した者が居住している国に課税権があるとされています。これを利用し、巨額の含み益を有する株式を保有したまま、キャピタルゲイン非課税国(シンガポール、香港、ニュージーランド、スイス等)に出国し、その後に売却することにより、日本でも外国でもキャピタルゲイン課税を免れることが可能となります。

 

このような節税スキームを防止する観点から、「出国税(Exit Tax)」を導入し、一定の高額資産家(出国時の株式等の評価額が一億円以上の者)を対象に出国時に未実現のキャピタルゲインに対して特例的に課税するものとしています。

 

なお、納税資金が不十分であることを勘案し、納税猶予(最長10年)を選択できることとされています。

 

 

4.非居住者に係る金融口座情報の自動的交換制度の整備

 

「国際的な脱税及び租税回避を防止する観点から、非居住者の金融口座情報を租税条約等に基づき各国税務当局と自動的に交換するため、金融機関に対し非居住者の口座情報の報告を求める制度を整備する。」

 

2014 10月24日のブログ「OECD海外居住者の金融口座情報の交換ルールを公表!」でも述べましたが、2014年7月21日にOECDが国際的租税回避を防止するための、「金融口座情報に関する税務における自動的な情報交換についての世界標準」を公表したことを受けて、この標準を導入することを表明することになります。

 

この制度の下では、日本の金融機関は、非居住者(海外居住者)の口座情報を国税庁に提出することが求められます。国税庁は当該口座情報を非居住者の各居住地国の税務当局に対して、年一回まとめて情報提供します。当該口座情報には、口座保有者(非居住者)の氏名・住所、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等が含まれます。

 

当該制度に関し、2017年から金融機関による手続が開始し、2018年に第一回の情報交換が行われる予定となっています。

 

 *          *         *

 

以上の与党税制改正大綱の内容はそのまま法律化されることが予想されますので、早目の検討・対策が望まれます。

 

以上

 

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