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JAPAN 国際税務 税制改正 

平成31年度税制改正で国際課税何が変わる?
過大支払利子税制の改正について

2019.04.05

過大支払利子税制とは

法人の関連会社間での借り入れを恣意的に設定し、関連者への支払利息が無制限に損金算入さるのを防止する制度で、日本では平成24年度の税制改正で創設されている制度です。

 

今回の改正の背景

平成24年度で創設された過大支払利子税制とBEPS行動計画4:利子控除制限ルールとの主な相違点は以下でした。

 

項  目

日  本

BEPS行動計画4

制限される利息の支払先

原則関連者

限定なし

調整所得金額

EBITDA+配当益金不算入額

EBITDA

損金に認められる金額

調整所得金額×50%

調整所得金額×10~30%

 

今回の税制改正の概要

BEPS行動計画との相違点を受けて、今回は以下が改正されました。

① 制限される支払利息に、国外の非関連者に対する支払利息を追加(一部除く)

② 調整所得金額から、受取配当等(国内・国外)の益金不算入額を除外

③ 対象の支払利息の金額のうち損金に認められる金額が、調整所得金額×20%

④ 適用免除基準の改正

ⅰ  対象の純支払利子が2,000万円以下(現行1,000万円)であること

ⅱ  国内50%超グループの対象の純支払利子の合計額が、その国内50%超グループの調整所得金額の合計額の20%以下であること

(現行は国外関連者の支払利子等の額が総支払利子等の額の50%以下)

 

改正による影響

今回の改正で一番のポイントは、現行は原則的に国外関連者に対する支払利息が制限の対象なので国外の非関連者からの借入金に対する支払利息は対象外だったのが、国外の非関連者に対する支払利息まで対象となるところです。現行制度だと、国際企業グループ全体で資金調達を行う際に、比較的税率の高い日本で借入金と支払利息を認識することでグループ全体の税負担を下げることが問題視され改正の対象となりました。

また、主に外資系の法人は過大支払利子税制で適用免除基準で免除された場合でも、過少資本税制で支払利息の損金算入を制限されることもあるので注意が必要です。

以  上