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【中国】解説:日本に一時帰国している駐在員の課税問題に対する中国当局Q&A

2020.09.04

LIBRARY【特集】 新型コロナウィルス関連

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※ 本ブログは 株式会社BPアジアコンサルティング の原稿提供により掲載しております。

新型コロナウイルス問題により、現在も日本に滞在している中国駐在員の方々がたくさんおられます。中国当局もビザ発行を進めているとのことですが、今なおそのハードルは高く、既に日本での一時帰国日数が183日を超えつつあります。

これは自動的に今年度の中国滞在日数が183日未満になった、すなわち中国の非居住者になったことを意味します。
この場合、日本本社が支払う駐在員(一般社員とします)への給与(例:留守宅手当、格差補填等)は中国には課税権はなく、また中国子会社が支払う給与についても、駐在員が日本国内で勤務をしており、日本の役職がある場合などは、中国国外源泉(=日本源泉)所得となり、同様に中国には課税権がなくなります。
すなわち、駐在員の給与に対する個人所得税は日本に納税するべき(日本でも非居住者のため、非居住者課税20.42%)となります。

しかしこのような複雑な事情を把握していないため、2020年1月以降の支給給与(日本・中国)は全て中国で納税してきたという会社も多く、また日本滞在183日超が確定した以降は本当に日本ですべての納税をしてもよいのか、判断できていない会社も多い状況です。

このような中、中国国家税務総局が2020年8月14日に、新型コロナウイルス感染拡大防止期における租税協定の実施に関する質問回答(Q&A)を公布しました。
そのQ5には以下の記述があります(一部要約)。


Q:新型コロナウイルス対策により居住地が変化したため、双方居住者に該当する場合があるが、この問題をどのように解決するのか?(筆者:なお日中間の場合は双方非居住者に該当します)


A:双方居住者に対して租税協定を適用する場合は、永住地、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍などにより、一方の居住者であると判断して行う。(中略)
新型コロナウイルス対策のために一時的に居住地に変化があった場合、通常、永住地あるいは重要な利害関係の中心の場所の変化を引き起こさないため、租税協定に基づく居住者の身分は変更しない。


このQ&Aの趣旨からすれば、コロナウイルスにより一時的に日本に帰国していても、変わらず中国子会社の業務を(日本からリモートで)行っており、それにより給与所得を得ているのであれば、その重要な利害関係の中心の場所(=中国)は変化しておらず、中国居住者の身分には影響しない、と読み解けることができます。

しかし、このQ&Aの内容は、中国個人所得税法が定める中国居住者の定義、すなわち183日といった滞在日数によって居住者非居住者を定めるその規定と矛盾・相違するとも言えます。

今回のQ&Aは、その名の通りQ&Aであり、法規法律ではありません。よって優先すべきは中国個人所得税法及び関連法規ではありますが、そもそも現在の法律法規は新型コロナウイルス問題のような特殊問題を想定していません。
これを受けてか今回のQ&Aでも、そのQ6にて、二国間にて二重課税等の紛争となった場合相互協議にて二国間の税務当局が協議する、としています。

現在、中国で納税した個人所得税を還付できるのか、今後日本で納税をしてもよいのかという問題に対し、中国課税当局の具体的対応、実務執行が注目されています。残念ながら今回のQ&Aではその全てを解決するものではありませんでしたが、その内容は中国居住者となる内容であり、非常に注意すべき内容と考えられます。
今回のQ&A、また今後公布されるかもしれない各種通達等に注目して参ります。

以 上

 

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