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【特集】新型コロナ関連(COVID-19) CHINA JAPAN 国・地域情報 

【中国】新型コロナウイルスの現状・4月27日

2020.04.27

※ 本ブログはBUSINESS PARTNER 株式会社BPアジアコンサルティング の原稿提供により掲載しております。

中国では新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあります。日本は未だ厳しい状況が続いていますが、今後の参考になるポイントがあるかも知れず中国の現状をまとめました。
(2020年4月下旬現在)

中国の現在の新型コロナウイルス感染者状況
中国では、春節(2020年1月24日)ごろから感染者数が急激に拡大していましたが、4月23日の新規感染者数は40人(内34名は無症状)と、一時は数千人の感染者数を出していたころからみてかなりの減少傾向にあります。
また感染者の内容も、その大半が外国から帰国した中国人及び黒竜江省など国境近くの省での発生が中心で、中国国内での純粋な罹患は少なくなってきています。
厳格な都市封鎖をした中国ですが、具体的にはどのような手法を行い、現在はどのような状況になっているのでしょうか。
(以下上海市の場合を記述しています)

健康コード(中国語:健康碼)によるビックデータ管理
中国では健康コードという個人別に管理するシステムを用いて新型コロナウイルスの感染対策管理を行っています。これは、WECHATやアリペイ等の中国SNSアプリに身分証明番号(日本のマイナンバーに相当、全ての中国人に付与)を登録すると付与されるもので、緑、黄、赤で新型コロナウイルスの感染状況を色区分するものです。
具体的にどのような要素で色区分が決定されるかは明確にはされていませんが、赤は感染者や濃厚接触者、黄は危険地域(湖北省など)の滞在歴、経由歴がある、緑は感染の問題がない、PRC検査で陰性であったなど、とされています。
この健康コードによりスマホアプリ上に自らの色が表示され、これが各種移動時のパスとなり、また個人の行動管理(都市移動の略歴、濃厚接触や危険地域、クラスターへの接触やトレーサビリティ)のツールとなっています。
例えば役所内に立ち入る、飛行機新幹線などで遠方に移動する際にはこの健康コード確認が必要となっていますし、北京市には緑でなければ入れないなどの制限があります。
また危険地域に入省すると、黄に変化するなど、その行動状況もトレースされますし、地下鉄などでは乗車社内に感染者がいるかなど確認できるようになっています。
しかし現在では、厳格な健康コード確認は落ち着きを見せており、例えばレストランやビル、マンションに入る際には健康コード確認は不要となってきていますし、地下鉄、バス、タクシーなどの地元交通機関では健康コード確認は不要です。
一方、銀行などでは事前に個人がアプリ上で申請をすることで入店が可能になる等の運用、その他の施設等でもマスク着用や体温検査の実施をしているところはまだ多くあります。

日本では個人情報やプライベート問題、またマイナンバーの普及状況もあり、個人を特定したこのようなビックデータ管理の実施は制度上難しいかもしれませんが、広い国土と13億の人口から感染状況を管理するにはこのような手法が必要だったのではと思われます。

なお、この健康コードは当初中国身分証番号が必要であったため、日本人駐在員の方々はコードが取得できないところもありましたが、現在では日本人駐在員も健康コードの取得が可能となっており、現地駐在員の皆様は中国国内移動などで利用されています。

PCR検査、抗体検査の状況
日本では感染者の増加を受けPCR検査等が受診できない問題が懸念されていますが、中国では各病院で容易に受診でき、HPなどで予約の要否なども確認できます。
その金額はPCR検査で240元(約3,600円)、抗体検査で100元(約1,500円)程度であり、会社や政府の補助もあります。
もちろん検査を受けて陰性であれば前述の健康コードに登録され、緑判定となります。
ただ、現在では検査を積極的に受けようとする市民は少ない模様で、例えば外地から戻ってきた、外地や北京などの重要都市に出張・訪問する予定がある、大学が学生に検査を要請するケースなどが主たる受診目的となっています。

店舗・施設・学校の状況
日本では飲食店や各種施設の閉鎖が多くみられますが、中国ではクラブやカラオケなどの密接した一部業種を除き、飲食店、ジム・ボーリング場などの遊戯施設は開店しています。しかしレストラン店舗内での飲食者数はまだ完全に回復しておらず、空いている状況も続いています。
一方学校では中学高校は5月6日から、小学校高学年は5月18日から登校が再開される予定です。しかし小学校低学年及び幼稚園では再開日程が未定となっています。
当初新型コロナウイルスは若年層では重症化しにくいとの情報もありましたが、現在中国では若年層を守る政策を引いていることが伺えます。

会社への出勤状況
業種やオフィスの状況にもよりますし、まだ一部テレワークを実施している先もありますが、通常出勤ができる会社が増えてきています。
出勤時の地下鉄、バス、タクシーなどではマスク着用が要請されますが、その他特段の制限はありません。また接触を避けるべく自家用車で出勤する方もあり、地下鉄などでは通常よりもすいている状況にはあります。
またオフィスに入る際には体温検査、マスク着用が求められる先が多いですが、その他の特段の制限はなくなってきており、鎮静化に向かっている状況といえます。

駐在と出張について
中国に滞在している駐在員の方が日本に一時帰国した場合、仮に日本国内で14日間の待機問題をクリアーしたとしても、中国では外国人の入国制限をしているため、解除されるまで中国に再入国できない状況となっています。
よって春節休暇などで日本に一時帰国した駐在員の方々は中国に戻れず、遠隔・テレワークで現地管理を余儀なくされておられます。
また3月の転勤シーズンなどで中国赴任が決まった日本本社の社員の方もおられますが、中国ではビザ発給が停止されており、駐在ビザが下りず赴任ができない方も多くいらっしゃいます。
当然のことながら、日本本社の方が中国に出張することもできず、ビジネスの往来は止まっている状況です。
これらは今後中国並びに日本の入国管理制限がどの程度まで緩和されるかによりますが、当面相当期間は入出国ができない状況が続くと思われます。

マスクの購入について
日本では未だマスク不足が問題となっていますが、中国では一時期に比べてマスクの入手は容易になってきており、市中の薬局などで普通に購入できるようになってきています。またその金額も一時期高騰していましたが、最近では50枚100元(約1,500円)程度で購入できるようになってきています。


以上のように、中国では独自の強力な新型コロナウイルス対策制度を実施してきました。最近になってようやく落ち着きを見せてきてはいますが、ここに至るまで3か月程度の期間がかかっています。また、かなりの改善傾向にあるにもかかわらず、中国の市民生活では今なお体温検査やマスク着用の厳格運用、レストランなどもまだまだ空席が多く、市民の根強い警戒感が続いています。
これは都市封鎖や規制がいつまで続くのか・解除されるのか、ということではなく、新型コロナウイルスを克服するためにはどうすべきか、という意識が働いているのだと思われます。

日本ではまだ出口が見えず、不安な生活を余儀なくされている方も多いですが、非常事態宣言の終息ではなく、新型コロナウイルスをいかに克服するのか、を考えていく必要があると思われます。
早く日中間の自由な移動交流が復活してほしいものです。

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