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【特集】新型コロナ関連(COVID-19) CHINA JAPAN 国・地域情報 

【中国】新型コロナウイルスの状況と対策

2020.04.14

※ 本ブログは 株式会社BPアジアコンサルティング の原稿提供により掲載しております。

新型コロナウイルス感染者の発生状況
日本では4月8日に7都府県に対し緊急事態宣言が発出され、日々増える感染者に対し、行政・市民とも懸命の対応がなされています。
一方中国では、4月に入ってからの新規感染者数が30-55名/日(中国国家衛生健康委員会HPより、感染の疑いを含む)程度となっており、中国春節の延長休暇が明けた2月10日では約7千名の感染者を出していたことを考えますと、かなりの減少傾向にあります。
これに対しては各国の統計数値の集計方法の差異などもあるかもしれませんが、例えば上海市では出社制限が解除された会社も多く、また各省においても制限レベルを段階的に引き下げている省もあり、市民生活においても平穏化の方向に進んでいる模様です。
とはいえ累計で8万人以上の感染者を出しており、新型コロナウイルスによる経済・市民生活への影響は甚大で、今なおその対応に苦慮しているのは中国も他国と同じ状況にあるといえます。

中国政府の対応
新型コロナウイルスが大きな社会問題に発展しつつあった中国では2月以降に各種政策を発表しました。その主な概要(租税等に関するもの)は以下の通りです。

①輸入物資に対する租税減免政策
中国国外の寄付者が無償で受贈者に寄付した新型コロナウイルス感染防止に関連する物資に対し、輸入時の関税、増値税、消費税(日本の旧物品税に相当)が免除されます。

②企業所得税の減免政策
新型コロナウイルス感染防止に関連する物資(中国語:疫病発生防止重点保障物資)を生産する企業が、生産能力拡大のために行った設備投資は即時償却ができます。
またコロナウイルス問題の影響を大きく受ける業種である運輸交通・飲食・旅館・観光業では、税務上の繰越欠損金の繰越期間が5年から8年に延長されます。

③増値税の減免政策
新型コロナウイルス感染防止に関連する物資の生産企業は、2019年12月と比較して増加した未収増値税を全額還付します(日本と異なり中国では未収増値税は還付されるのではなく、将来の未払増値税より控除するものとして繰り越されます)。
またこれらの物資や生活必需品の輸送、公共交通や生活サービス(教育医療、飲食宿泊など)に係る販売増値税は全額免除されます。

④寄付金控除政策
企業や個人が公益性社会組織などに対して行った寄付はその全額が所得より控除されます。

⑤個人所得税の減免政策
医療従事者が取得する業務補助金や奨励金は個人所得税が免除されます。

⑥社会保険料の減免
養老、失業、労災保険について、中小企業は2月から6月まで納付を全額免除、大企業については2月から4月まで納付を半減するとしています。
なおウイルス発生源となった武漢市のある湖北省の場合、全ての企業が2月から6月まで全額免除となります。

⑦申告と納税の期限延長
中国では個人所得税及び流通税を翌月15日までに申告納税しますが、これを月末まで延長し、さらに申告が困難な企業については申請により更なる延長ができるようにしています。

以上の政策をみると、租税の減免においては新型コロナウイルスの防止に直接的に関連する内容が多く、広く一般に対する企業所得税や増値税・個人所得税等の直接的な減免措置は取られていません。
これは税の減免による経済効果よりもコロナウイルスの防止に効果・貢献するものに主眼を置いていること、また中国の個人所得税や増値税は景気刺激策のために2018年-2019年にかけてすでに減税をしてきており、ここで更なる減免政策を打ち出すことへの限界も背景にあると思われます。
日本でも税の減免ではなく、新型コロナウイルスにより影響を受けた事業者・消費者への補助政策を中心に議論されていること、また消費税減免の意見もありますが、その財源をどうするかといった議論がなされていることに似ていると思われます。

中国では旧正月における都市封鎖などの拡散防止策が徐々に効果を表し、患者数の発生も減少傾向にありますが、社会的・経済的問題に対処するのはまさにこれからとなります。日本も将来において新型コロナウイルス問題によってもたらされた各種社会問題をどのように改善解決するのか、その参考として中国の動向を見守りたいと思います。

そして世界の新型コロナウイルス問題の一日も早い収束を願っております。

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