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移転価格リスクと向き合う⑥「OECD第1次BEPS成果物-行動計画8「無形資産に係る移転価格ガイダンス)」

2014.11.20

本年9月16日に発表された、OECDとG20の共同プロジェクトに基づく多国籍企業の租税回避に対処する第1次BEPS提言では、15あるBEPS行動計画のうち、7つの行動計画について成果物が公表されています。

移転価格関連では、前回のブログで検討した行動計画13「移転価格関連の文書化及び国別報告書に係るガイダンス」と行動計画8「無形資産に係る移転価格ガイダンス」という二つの成果物が公表されています。今回は、後者について見ていくことにしましょう。

行動計画8「無形資産に係る移転価格ガイダンス」(原題:Action 8: Guidance on Transfer Pricing Aspects of Intangibles)は、無形資産の分野で移転価格ルールの結果が価値創造と一致することを確保するための、既存のOECD移転価格ガイドラインの改訂を含んでいます。主たる内容は以下のとおりです。

① 無形資産を、「有形資産・金融資産ではなく、所有・支配することができ、同様の状況の非関連者間取引において、その使用または移転により報酬が生じる資産」と定義する。

② 無形資産の価格算定で信頼しうる比較対象取引が存在しない場合の評価手法として、DCF (Discount Cash Flow)法という将来の予想収益を現在価値に割引いて価格を算定する方法を導入する。

③ 価格付けが困難な無形資産の評価額算出方法等の残りの論点については継続して議論する。

なお、無形資産に係る移転価格上の論点は、2015年9月を期限とするその他の移転価格関連の行動計画(行動計画 9及び10)とも関連するため、これらの検討結果も踏まえて、「移転価格ガイドライン」の改訂を実施していくことになっています。

以 上