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海外勤務者が受ける健康診断

2014.04.02

企業活動の国際化にともない、海外で勤務する労働者の数も年々増加しています。労働者にとって生命・身体・健康は何より大切なものであり、それが労働によって損なわれないように、会社は、労働者の健康管理に資するべく健康診断を実施する必要があります。労働安全衛生法ならびに労働安全衛生規則では、海外派遣労働者について健康診断の制度が設けられています。

会社は、海外派遣労働者に対して、以下の場合に、一般の定期健康診断の検査項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならないことになっています。

 ○派遣前の健康診断
  労働者を海外に6か月以上派遣しようとするとき
 ○帰国後の健康診断
  海外に6か月以上派遣した労働者を、帰国後、国内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)

海外派遣労働者の健康診断の対象者は、海外に6か月以上派遣される労働者で、その派遣形態が駐在であるか出張であるかにかかわらず、会社は健康診断を実施しなければなりません。また、この海外派遣労働者の健康診断については、雇入れ時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断及び特殊健康診断を受けた者につき、その実施の日から6か月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目のうち重複する項目を省略できることとされています。

なお、海外派遣労働者の健康診断は定期のものではないので、定期健康診断を行ったときのように、会社は、その結果について所轄労働基準監督署長に対する報告をする義務はありません。ただし、「健康診断個人票」を作成して5年間保存することが求められます。

最後に、会社による海外派遣労働者の健康診断の不実施は法令違反となり、50万円以下の罰金に処せられることになります。一方、海外派遣労働者は、原則として、会社が実施する健康診断の受診義務あることに留意が必要です。