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海外進出企業にとっての「グループ経営」 第2回 海外進出の理由

2013.09.25

★このブログは朝日税理士法人(東京) の原稿提供により掲載しております。

海外進出する理由は、企業によってそれぞれ異なりますが、第42回海外事業活動基本調査(経済産業省 2012年7月調査)では以下のようになっています。

さらにこの上位4件の理由を、2004年~2011年までの時系列で比較すると以下のようになります

「現地の製品需要が旺盛又は今後の需要が見込まれる」という理由が伸びている一方で、「良質で安価な労働力が確保できる」という理由は2位から4位に転落しています。これは現地市場を狙った海外進出が加速する一方で、コストダウン狙いの進出が減少傾向にあることを示しています。

これは例えば4輪自動車の生産・販売台数を重ね合せてみるとよくわかります(資料 International Organization of Motor Vehicle Manufacturers)。自動車は部品点数が2万~3万個といわれており、自動車産業は非常に裾野が広い複雑な産業です。特に新興国の自動車生産・販売台数を見てみると、外資の導入状況がよくわかります。

自動車の生産販売台数は2012年において、世界の自動車生産・販売台数は約8千万台ありました。その内、約1/4の19百万台を中国が占め、インドやブラジル、ロシア、タイ、インドネシアといった新興国が1百万台以上の自動車を生産かつ販売しています。

一方で日本の人口は既に減少傾向にあり、急速な高齢化が予測されています。普通に考えれば、日本の市場規模は、将来的に人口の減少に伴って縮小することが予想されますし、特に若い世代が購買層の中心を占める家電や車といった耐久消費財、一部のサービス業では先行きが懸念されます。


資料:2010年は総務省「国勢調査」、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果。2010年の総数は年齢不詳を含む。

もう少し詳しく世界の人口推移予測を見てみましょう。2010年を見てみると、日本の人口は約1億28百万人ですが、ここから総人口は減少を始めます。一方で日本の年齢の中央値は45.1歳、ここから2050年の56歳まで年齢の中央値は高くなり続けます。この傾向は、差があるものの中国や韓国でも同様です。一方でインドネシアやフィリピン、ベトナムといった国では人口は増加し続けますし、年齢の中央値は高くなるとは言え、元々が低いため、2050年になっても2010年の日本の値とそれほど変わりません。

現時点でも新興国のいくつかの国は、4輪自動車を百万台以上生産・販売できる力があり、かつそれらの国では日本の少子高齢化とは対照的に人口を増加させていく可能性が高い。このような環境下で、日本企業のグルーバル化は進んでいるのです。

以 上