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OECD移転価格文書化ガイドライン改訂案‐マスターファイルは英語で作成!?(移転価格税制)

2014.06.30

「OECD移転価格ガイドライン第5章(文書化)1995年版」の改訂案について見て行きます。

改訂案では、移転価格文書をマスターファイルとローカルファイルで構成する二層構造アプローチが採用されました。今回はマスターファイルについて見て行きましょう。

マスターファイルは、多国籍企業グループ全体に共通する基本情報を記載するものです。

その目的は、税務当局が重要な移転価格リスクの存在を評価できるように、グローバル・ビジネス、財務報告、債務構造、課税状況、及び、グループの収入、経済行動、納税の配分について、その合理的全体像を引き出すことにあります。マスターファイルをグループ全体で作成するか、事業分野ごとに作成するかは、税務当局に対して最も関連性の高い移転価格情報を提供できるかによるものとされます。

マスターファイルの記載内容は、下記の5つのカテゴリーに分類されます。

【マスターファイルの記載内容の分類】

1.多国籍企業グループの組織のストラクチャー
2.多国籍企業の事業の詳細
3.多国籍企業の無形資産
4.多国籍企業のグループ内金融活動
5.多国籍企業の財務状態と納税状況

各分類ごとの記載項目は、2は主要事業分野ごとに7項目、3は5項目、4は4項目、5は5項目あり、決して少なくありません。

また、2では、製品のサプライチェーン、知的財産の戦略、事業再編の説明などの重要な情報、5では、多国籍企業と所在国の税務当局との間で行われたAPA、ルーリング、相互協議等のリストとその説明、といったように、機密性が高い情報が含まれます。

マスターファイルは、多国籍企業グループの親会社の指示で完成され、各国に所在する関連者を通じて各国税務当局に提出するものとされています。また、原則、毎年の更新が必要です。作成言語は英語で、非英語圏の税務当局から要求があれば、必要な部分を現地の言語に翻訳する必要もあります。

この改訂案が本年9月に原案どおりに採択され、日本の移転価格税制もそれにあわせて改正されれば、企業の事務負担の大幅な増加が予想されます。また、機密情報をオープンにしなければならない可能性もあります。

当該改訂案はあまり話題としてとりあげられませんが、海外ビジネスへの影響は小さくないと考えます。改訂案が最終的にどのような姿になるのか、その行方から目が離せません。

以上