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【CHINA】中国子会社清算時の資金投入と日本本社の税務問題ついて

2025.11.26

※ 本ブログはBUSINESS PARTNER株式会社BPアジアコンサルティング の原稿提供により掲載しております。

世界的サプライチェーンの見直しや中国自動車産業の急速なEV化などを受けて、中国子会社の清算を検討している企業グループが見受けられます。

中国子会社の清算を決定した場合、日本本社が初めに留意すべき点に現地の資金繰り問題があります。社員解雇による経済保証金やオフィス退去に伴う原状復帰などの一時費用の他、長い清算期間中(通常1年以上~)の経費など、資金需要が発生するためです。

これを現地法人の資金残高でまかなえない場合、日本本社から追加の資金投入が必要となるのですが、これに対する中国側の留意点と、日本側の税務上の留意点を解説したいと思います。


中国側の留意点:

追加資金投入の各方法とポイントは以下の通りです。

1.増資による投入

メリット:           最も一般的資金調達方法である
デメリット:       登記手続きに時間がかかる

2.貸付(親子ローン)による投入

メリット:           最も一般的資金調達方法である
デメリット:       登記手続きに時間がかかる、借入枠の制限を受ける

3.立替払による投入

メリット:         登記手続きが不要である
デメリット:       受取側で外貨対応できず、事実上送金支払ができないことが多い

以上から、借入枠や外貨上の制限を受けない増資による資金投入を選択されるケースが多く見受けられます。(注1)

(注1)過去のニュースレターに詳述しておりますのでご参考ください。
【CHINA】会社清算における資金調達の方法と最近の動向について


日本における留意点:

会社清算では全額回収できず、中国子会社への投資や貸付金・未収金が損失処理されるケースが多いのが実情です。

日本本社では、これら損失が税務上容認されるかについて注意されると思いますが、多くのケースでは、これ以上の事業継続は更なる損失拡大を招く等の経済合理性を備えており、税務容認されるのが一般的です。

しかし前述のように、清算時に追加資金を増資により投入した場合、当該投資損失が否認されるリスクが高まります。これは法人税基本通達9-1-12にて、増資後一定期間を経ない投資損失を制限する規定があるためです。

当該通達は増資払込後の評価損の濫用を制限するのが目的ですが、形式上中国子会社においても増資後に投資損失を計上したとしてもこれに該当しないとした準備・対策が必要です。

そもそもなぜ増資をしなければならないかを整理します。

  • 中国にも破産制度はあるが外商投資企業に適用された事例はほぼなく、債務弁済義務がある清算を選択せざるを得ない。
  • これに対し現地法人に資金不足がある場合、出資者たる日本本社が債務弁済資金を提供せざるを得ない。
  • 資金提供方法には貸付や立替金もあるが、これらの方法は中国の外貨管理制度の制限等を受けるため得策ではない。
  • このため増資により現地に資金提供することとなった。

この前提のもと、具体的必要資金項目、その金額や内容を整理することで、増資後の投資損失の合理性を証明すれば容認も可能となります。

中国子会社の清算や資金問題においては、中国現地での対応や問題に目が行きがちです。しかし日本本社側でも留意しなければならないポイントも多く、これらを総合的に把握対応することが肝要です。


株式会社BPアジアコンサルティング(BP日本)・上海麦統商務諮詢有限公司(BP中国)では日本・中国の公認会計士、CPAからなる会計税務の専門コンサルティングファームとしてM&A・組織再編スキームの事前検討やその実行、会社清算の実務運営サポートなど一連のサービスを提供しています。ご不明な点等ございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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