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日本で海外電子書籍にも消費税が課せられる!(OECDのBEPS行動計画1「電子経済の課税上の課題への対処」関連)

2014.12.19

2015年 の税制改正においては、海外から日本にインターネットで配信される電子書籍・音楽等のコンテンツに消費税を課す方向で議論が進められています。

現在、米国アマゾンや楽天「kobo」など、海外にサーバーを置く事業者からのデジタルコンテンツの販売については、消費税が課税されません。ゆえに公平な競争が阻害されているとして、日本の出版、音楽、ネット業界などから消費税法改正の要望があがっていました。

これに対し、自民党の税制調査会長も「内外の公平という問題と同時に、課税漏れという問題がある」と指摘し、来年(2015年)10月の消費再増税に「(海外デジタルコンテンツへの消費税課税を)間に合わせるようにしたい」と語っています(2014年10月18 日、日経電子版)。自民党税制調査会は政府税制調査会が本年6月に公表した「国境を越えた役務の提供に対する消費税について」という制度案を土台に、年末までに具台的な制度案作る予定です。

当該政府税調の制度案では、まず、デジタルコンテンツの提供(電子書籍や音楽の配信等)については、消費税法上、「資産の譲渡・貸付け」ではなく、「役務の提供」であることを明確にしています。その上で、国外事業者が行う国内外に亘る役務の提供(電子書籍等が該当)など、その役務の提供が行われた場所が明らかでないものについては、役務の提供を行う者の住所でなく、受ける者の住所で国内か国外か判定することとしています(国内は課税、国外は不課税)。

つまり、デジタルコンテンツの提供を行う者の住所が海外にあっても、提供を受けるものの住所が日本にある場合には、消費税が課税されることになります。

安倍首相は、先の衆院選勝利を受けた記者会見で、来年度の自民党税制改正大綱について「異例だが、年内中にとりまとめを支持したい」と表明していますので、上記、消費税の改正案が同大綱に盛り込まれるのか、注目に値します。

さて、このような海外からのデジタルコンテンツ等の役務提供など電子商取引については、顧客の所在国に販売店等の物理的拠点を有さずに行えることから、消費税だけでなく法人税の課税が十分に行えないという課題があります。

このような課題への対処は一国で行うことは困難であり、国際的な仕組み作りが必要です。これに関して、経済協力開発機構(OECD)/G20では議論が重ねられ、本年9月16日公表の第一次BEPS(*1)提言の中で、「行動計画1:電子経済の課税上の課題への対処」に係る報告書の形で発表がなされています。

(*1)BEPSとは、Base Erosion and Profit Shiftingの略(日本語では、「税源浸食と利益移転」)で、多国籍企業が各国の税制の違いや租税条約等を利用して所得を軽課税国・無税国に移転し、グローバルに租税負担を免れていることを指します。

同報告書ではこの課題に関して勧告は行われませんでしたが、以下のような、対応策の4つのオプションが提示されました。

① 外国法人の事業所得については、国内に恒久的施設(PE)がある場合に課税する取扱いであるところ、PEの考え方の見直し。
② 企業が他国の顧客のデータの大量の収集から経済的利益を得ている場合のそのデータの価値に着目した課税。
③ 海外からの電子書籍・音楽配信等の役務提供に対する対価の支払いについて、これらの電子商取引の決済を行う金融機関等への源泉徴収。
④ 役務の提供を受ける者の所在地で課税(仕向地主義)することが望ましいことから、消費者向け取引(B2C)についての海外事業者からの消費税の徴収の在り方。

OECD/G20は、上記オプションについて、中立性、効率性等の観点から評価することとしており、他のBEPS行動計画の検討も踏まえて、各オプションの技術的詳細や影響について、2015年末まで引き続き議論を継続することになっています。

以上