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OECD海外居住者の金融口座情報の交換ルールを公表!

2014.08.15

今年(2014年)7月10日、富裕層の多い東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局は「超富裕層プロジェクトチーム」を発足させるなど、富裕層の海外資産に係る所得税や相続税の申告漏れに目を光らせています。

国際的にも、協力体制の整備、積極的な情報交換の機運が高まっており、同年7月21日、経済協力開発機構(OECD)により富裕層・多国籍企業の国際的租税回避を防止するための、「金融口座情報に関する税務における自動的な情報交換についての世界標準」(Standard for Automatic Exchange of Financial Account Information in Tax Matters)が公表されました。

この標準は、各国の税務当局が自国の金融機関から非居住者(海外居住者)の口座情報を入手し、非居住者の各居住地国の税務当局に対して、年に一度、オンライン上で報告し合うこと等を定めたものです。口座情報には、金融口座の名義人、住所、残高、利子や配当、金融資産の売却額等が含まれます。

たとえば、日本の居住者である日本人がA国の金融機関に金融資産を保有している場合、A国の税務当局は同金融機関からその口座情報を入手し、日本の税務当局に対して、年に一度、オンライン上で提供します。

各国は以前から国境を越えた租税回避を防止するため、お互いに租税条約を結んで金融資産に関する情報交換を行ってきました。しかし、実際は海外からの入金情報などを一度CDに記録し、不定期に相手国に送る程度にとどまっていました。

同標準について、日本などのOECD加盟国をはじめ、65か国超の国と地域は、すでに公式に導入を表明しており、そのうち40超の国と地域は2017年には最初の自動的情報交換を行うという日程で動いています。

同標準が導入されれば、国税当局の海外資産に係る情報の質や更新頻度が高まり、海外資産保有者に係る税務調査の一層の強化が図られるものと思われます。

以上