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海外進出 事前準備は周到に!

2013.08.19

★このブログは朝日税理士法人(東京) の原稿提供により掲載しております。

海外進出といえば、少し前までは非常に敷居の高いものと思われていましたが、今や中小企業も海外に進出するのが当たり前の時代になってきています。

特に東南アジア諸国への進出が非常に目立っており、製造業のようにコストメリットを求めて進出する企業はもちろん、マーケットを狙ってサービス業の進出も非常に増えてきています。

今や身近になった海外進出ですが、実際に進出しようとするとそう簡単にはいきません。言葉の違い、文化や商慣習の違い、宗教の違い、法制度の違いとことごとく壁にぶつかります。

最近よく見受けられることですが、事前調査をあまりせずに安易に進出を決定したために、当初想定していた計画から大幅に遅れて苦労している企業が多数存在しています。

以下はその一例です。

   ◆ 工場建設用の土地が見つからないため、進出計画が大幅に遅れている。

   ◆ 投資奨励の申請許可が得られないため、独資での進出ができない。

   ◆ 合弁相手との契約がまとまらず、スキームの再構築を余儀なくされた。

   ◆ 外国人事業ライセンスの取得が必要と知り、その申請に思わぬ時間を要した。

   ◆ 日本人のVISAが取得できず、事業が頓挫した。

   ◆ 工場の建設に時間がかかって操業が大幅に遅れた。

   ◆ 人材が定着せず、採用に苦労している。

   ◆ 競合他社との競争が激しく、思うように売上を伸ばしていけない。

進出を検討するにあたっては、何度も現地に足を運び、事前に情報収集をするなどして、しかるべき調査を済ませたうえで進出を決定することをお勧めします。

海外進出は時間とコストがかかるものです。予期せぬ事態に備えてしっかりと事前準備を行いましょう。少なくとも以下のようなことは事前にしっかり検討しておく必要があるでしょう。

ステップⅠ進出国の検討(各国の情報収集) 

↓ 国内における予備調査の実施

  政治動向、経済動向、マーケットの状況、労働事情、インフラ環境、不動産事情、

  金融事情、外資規制、投資奨励恩典、工業団地の状況、会計制度、税制、為替制度、

  現地人の気質など

ステップⅡ 進出形態の検討

↓ 駐在員事務所設置

  支店設置

  法人設立(独資又は合弁) など

ステップⅢ 進出スキームの検討

↓ ・投資奨励制度による進出

  ・現地パートナーとの合弁による進出

  ・現地日系企業との合弁による進出

  ・現地の日系金融機関の投資による進出 など

ステップⅣ 事業計画素案の検討

↓ 事業計画素案の作成(大まかな計画を作成しておく)

  ・利益計画・・・売上、原価、経費

  ・設備投資計画・・・設備の購入(新品or中古、現地調達or輸入)

  ・資金計画・・・投資(親会社、銀行、現地パートナー、現地日系企業ほか)

          借入(親会社、銀行、現地パートナー、現地日系企業ほか)

  ・人員計画・・・職位別の人員数(日本人と現地人の構成) など

ステップⅤ フィージビリティスタディ(F/S)(注)

↓ 実行可能性について検討するための調査

 (こちらの調査結果をもとに進出の意思決定を行う)

ステップⅥ 事業計画の修正と進出スケジュールの作成

↓ F/Sの結果をもとに事業計画の修正及びブラッシュアップ

  進出に必要な手続き等の具体的なスケジュール表を作成

(注)状況に応じてタイミングは前後します。

 

以 上