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2017年7月

移転価格税制と業績管理

今回は、移転価格税制と業績管理の関係を見て行きます。移転価格税制では、「独立企業間価格」を使うことが求められますが、これが企業グループの業績管理上の取引価格と異なるときはどのように対処すれば良いのでしょうか?

業績管理の目的から決定される価格とは?

 

企業グループは、その利益を極大化することが至上命題です。その達成のために、グループ内のそれぞれの企業の業績管理が行われます。単体企業の業績管理の基準はグループによってそれぞれ異なりますが、例えば、売上高、利益、営業キャッシュ・フロー、戦略達成への貢献度、グループ内部への効率的な資源配分などといった基準が用いられます。

 

単体企業に海外グループ会社との損益取引が存在する場合、取引価格によって当該単体企業の業績が左右されるため、そのモチベーションの向上などを目的として、グループ内の取引価格を政策的に決定する例が多く見受けられます。

 

一方、移転価格税制では、海外取引の価格は「独立企業間価格」であることが求められます。業績管理の目的から決定される取引価格と独立企業間価格が異なる場合、その調整が問題となります。

 

価格が異なる場合の対処方法

 

業績管理目的から決定される価格を利用する場合、その価格が「独立企業間価格」として認められるかどうかを、まずは検討する必要があります。そして、それらが異なる場合、企業グループが業績評価の基準を変えて取引価格を「独立企業間価格」に変更するのか、もしくは独自の取引価格を用いたまま、移転価格税制は税務調整によって対応するという2つの手法が考えられます。

 

ただ「独立企業間価格」は必ずしも一つの方法により求められる単一の価格ではありません。現行の取引価格が「独立企業間価格」として認められないと判断されて価格を変更する場合でも、どこまで変更すればそれとして認められるのかは、取引の状況に照らして綿密に検討する必要があります。

 

また「独立企業間価格」とは異なる独自の取引価格を用いる場合、税金の計算上、調整を行わないと、日本と取引相手の海外グループ会社所在国との間で二重課税が発生するリスクがありますので、それについての検討も必要になります。

 

海外にグループ会社を設立してビジネスを展開していく上では、様々なリスクがつきまとい、移転価格税制に係るリスクもその一つです。当該税制を理解して、そのリスクを回避することは、グループ利益を極大化のための必要条件です。

 

以上

 

【初掲載】

企業情報サイト 「イノベーションズアイ」 コラム 「中小企業にも求められる移転価格税制対応」 第4回 (2017年1月23日)

(弊社関連会社 朝日税理士法人執筆)

 

【お問い合わせ】

朝日ネットワークスグループは、日本の朝日税理士法人と連携して、移転価格文書化等、各種税務サービスを提供しております。ご質問・ご相談等ございましたら、当HPの「資料請求・お問い合わせ」よりお気軽にお問い合わせ下さい。

トップマネジメントがリードすべき移転価格税制対応とは

皆様は、「移転価格税制への対応」は、経理・税務部門の課題と位置づけておられるのではないでしょうか?確かに、移転価格税制に基づき課税所得を正しく計算する役割を担う当該部門は、多くの企業で移転価格税制の所轄部門となっています。しかし、海外子会社等との取引に係る取引価格(移転価格)は事業・営業部門の事業戦略に基づいて設定され、最終的にトップマネジメントが承認を下すものです。よって、移転価格税制への対応はトップマネジメントの関与が必要になってきます。

 

利益に直結する移転価格

日本の移転価格税制は、日本の企業が海外子会社等と取引を行う場合に、実際の取引価格が税制に基づく「独立企業間価格」と異なり、日本での所得が減少する場合に適用されます。その場合、企業は自主的に所得の減少額を計算して、税金を納める必要があります。放置しておき税務調査で指摘があった場合は、追徴税プラス加算税が課されます。

 

ここで注意すべきは、自主的であろうと、税務調査での指摘であろうと、移転価格税制による納税が発生した場合、グループ全体では、同じ所得に対して海外でも税金の支払い、すなわち、二重課税が発生しているということです(「相互協議」という手続きにより相手国の税務当局から税金を還付してもらい二重課税を回避する道もありますが、特に新興国では応じないケースが多いのが実情です)。

 

とりわけ、税務調査で移転価格税制による所得の計上漏れが指摘された場合、過去にさかのぼってそれが更正されるため、通常、追徴税額は多額となります。税金は利益に直接的に影響を与えますので、これはもはや経理・税務部門だけの問題ではなく、企画・営業・購買・知的財産・海外部門など、全社にまたがって対策を講じるべき問題と言えるでしょう。したがって、移転価格税制に係るコンプライアンスを遵守するためには、トップマネジメントのリーダーシップが必要となります。

 

グローバルで統一された移転価格設定ポリシーの必要性

日本企業と海外関連者との取引は国際間の取引ですので、移転価格税制の適用は2か国以上で問題となります。ここで、日本と外国の間に取引がある場合、外国の側のみで現地の税務当局に提出するための文書化を行っているのに、日本の親会社にはそれがまったく知らされていなかったという例を時々見かけます。しかし、同一の取引については、価格の決定方法および税務当局への説明は、国際間で共通した内容でなされるべきです。

 

この海外子会社等との取引価格決定に係るグループ全体の方針を、移転価格設定ポリシーと言い、それは移転価格決定の基礎となります。よって、その作成は、グループの中核である親会社が行う必要があります。親会社のマネジメントは移転価格設定ポリシーの重要性と内容を理解して、経理・税務などの管理部門だけでなくて、企画・営業・購買・知的財産などの部門や関連法人等まで情報共有が図られるようにしなければなりません。

 

繰り返しになりますが、トップマネジメントが移転価格税制の重要性を正しく認識して、社内の全部門、及び、国内外の全グループ会社をリードしていくことは、移転価格税制に対応するためには不可欠の事項です。

 

以上

 

【初掲載】

企業情報サイト 「イノベーションズアイ」 コラム 「中小企業にも求められる移転価格税制対応」 第3回 (2016年12月16日)

(弊社関連会社 朝日税理士法人執筆)

 

【お問い合わせ】

朝日ネットワークスグループは、日本の朝日税理士法人と連携して、移転価格文書化等、各種税務サービスを提供しております。ご質問・ご相談等ございましたら、当HPの「資料請求・お問い合わせ」よりお気軽にお問い合わせ下さい。

【タイ速報】タイ駐在員事務所設置 事業許可ライセンスは不要に
      (設置手続きの大幅簡素化)

概要

2017年6月9日付けで、商務省により「外国人事業許可の取得を必要としないサービス業に関する省令」が公布・施行されました。

本省令により、外国人事業法(Foreign Business Act ; FBA)に規定されてる規制業種リストから以下の6業種が除外されることとなりました。

1. 金融機関業務、金融機関業務に関連する業務、金融機関によるその他の業務及び金融機関グループに属する会社による業務
2. 資産管理業務
3. 外国法人の駐在員事務所によるサービス業務
4. 外国法人の出張所によるサービス業務
5. 政府機関によるサービス業務
6. 国営企業によるサービス業務

これにより、元々「外国人が従事してはならない事業(規制事業)」のリスト3に分類され、規制対象であった「外国法人の駐在員事務所によるサービス業務」が規制業種リストから除外され、事業許可ライセンスを取得せずとも駐在員事務所業務を行うことが可能となりました。

今後、タイに駐在員事務所を設置する外国法人は、商務省事業開発局 (DBD) より、法人番号(Juristic Person Registration Number)を取得し、それをTax IDとして歳入局に報告することで、タイで駐在員事務所業務を行うことが可能になります。なお、法人番号は申請後、数日内に取得することができ、手数料は不要となりました。

 

駐在事務所設置に必要な書類

法人番号の取得には、商務省事業開発局に「タイ国内でビジネスを行う外国法人の会計帳簿および帳簿記載必要書類の保管場所報告フォーム」と以下の添付書類を提出する必要があります。尚、駐在員事務所設置のための申請書はございません。

1) 日本会社の会社登記事項の証明書(日本での公証資料)
2) 駐在事務所代表者の委任状 (Power of Attorney )
3) 駐在員事務所代表者のパスポートのコピー
4) 申請代理人への委任状
5) 駐在事務所の地図

その他の重要事項

1. タイで事業を行う外国法人は、営業開始日から会計書類の作成を行ない、決算日から5か月以内に商務省事業開発局に財務諸表を提出する必要があります。これは従来通りです。


2. 当省令により、外国人事業法に規定される最低資本THB 3,000,000は不要となりましたが、同法14条に定めるTHB 2,000,000以上の最低資本金の規定は依然として適用されます。


3. 既存の駐在員事務所は、事業許可ライセンスの返却か継続保有かの選択をすることができます。ただし返却場合は、閉鎖の手続きが必要になるため、現実的には選択しづらいものと考えます。

 

以上

 

【お問い合わせ窓口】

朝日ネットワークス(タイランド)(株)は、 朝日ネットワークスインドネシア(株)、朝日ネットワークス(フィリピン)(株)、及び、日本の朝日税理士法人と連携して、タイ駐在員事務所設置をはじめ、各種タイ進出支援サービスを提供しております。ご質問・ご相談等ございましたら、当HPの「資料請求・お問い合わせよりお気軽にお問い合わせ下さい。

【タイ速報】タイ歳入局 移転価格に係る法令ドラフト公表(2017年7月)

らタイ歳入局より、移転価格に係る法令のドラフトとして、内国歳入法本法への追加という形式での草案が、一般納税者の意見を求める形で公表されました。従来より、歳入局内の運営指針として、非法令化の状態であった移転価格税制に係る規定ですが、いよいよ法令化に向けて進むことになりました。

内容としては、関連会社間の取引情報を求めることを法令化したもので、当局権限で移転価格文書を納税者に提出させることができるようになります。

草案からは、同時文書化(法人税の申告期限までに移転価格文書を提出させるもの)まで要求してはいないと読み取れますが、財務省令で規定される関係会社間取引額を超えることとなった場合には、移転価格文書の準備が実質的に必要となったと考えても良いように思います。

施行等、今後のスケジュールは未定ですが、次の動向が有り次第、このブログで報告致します。

内国歳入法 第71条の2 第1項(草案)

税務当局は、関連会社間の取引が独立企業間価格でないと判断した場合、法人税算定上、収益および費用の額を更正する権利を有する。

移転価格に係る更正を行う際は、タイ国と他国政府との国際基準および国際条約を考慮した財務省令に定める基準、方法、条件に従い、条約当事者の二重課税の回避も配慮される。

内国歳入法 第71条の2 第2号(草案)

「関連会社」とは、株式を直接的または間接的に50%以上の株式を保有している親子あるいは兄弟関係にある会社を言う。加えて、財務省令で規定される株式保有関係、マネジメント関係、管理支配関係などにより独自に意思決定できない関係となる場合も含まれる。

内国歳入法 第71条の2 第3号(草案)

税務当局が、同条第1号に従って、関連会社の法人税算定に係る収益および費用の額を更正する権利を行使した場合においてのみ、還付請求に係る期限を規定する。この場合、還付請求は、税法で規定されている法人税の申告書提出期限から3年以内、または税務調査による収益と費用の額の更正に係る書面通知日から60日以内に限り還付申請が認められる。

内国歳入法 第71条の3 第1号(草案)

財務省令で規定される予定のである一定の取引金額を超える関連会社取引のある企業は、タイ歳入局長が定める報告様式に従い、各事業年度中における関連会社情報および関連会社内取引の金額を報告する。 当該報告書は、内国際入法第69条に規定される法人税の申告期限内に、法人税申告書とともに提出されなければならない。

内国歳入法 第71条の3 第2項(草案)

税務調査官は、歳入局長の承認を得て、一定取引金額を超える関連会社間取引(財務省令で規定予定)がある企業に対し、歳入局長告知に基づく関連会社内取引の移転価格分析に必要な追加の「書類」または「証拠」の提出を求めることができる。

通知を受けた企業は、通知日から60日以内に当該書類等を提出しなければならない。当該期限内に提出できない特別な状況を除き、歳入局長は、当該通知日から120日を超えない期間での延長の検討をおこなう。

内国歳入法 第35条の3(草案)

第71条の3に従い、「報告書」、「書類」または「証拠」を提出しなかった場合、および提出された「報告書」、「書類」または「証拠」が正当な理由なく不完全または不正確であった場合、20万バーツ以下の罰金を科す。

以上について、タイの歳入局は、2017年7月7日まで、公的機関および民間団体ならびに一般納税者に対し、移転価格税制に関連した当該内国際入法の草案に関する意見をWEBSITE経由で求めるものとする。

(オリジナルサイト)

http://www.rd.go.th/publish/27680.0.html

以上

【お問い合わせ】

朝日ネットワークス(タイランド)(株)は、朝日ネットワークスインドネシア(株)、朝日ネットワークス(フィリピン)(株)、及び、日本の朝日税理士法人と連携して、移転価格文書化に係る各種サービスを提供しております。ご質問・ご相談等ございましたら、当HPの「資料請求・お問い合わせ」よりお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

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