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2015年12月

国税当局は納税者の海外金融口座情報を
自動的に入手可能に 平成29年より

国税庁の発表によれば、法人税、所得税、相続税のいずれも、海外取引のある納税者(または海外資産関連)に対する税務調査一件あたりの申告漏れ所得金額(または課税価格)は、全体の税務調査一件あたりの申告漏れ金額に比べて2倍近くなっています(下図)。

 42図表83MJ

 

これは、国税当局から見れば、海外取引がある納税者や海外資産関連の税務調査は徴税効率が高いことを意味します。国税庁は、上記発表時に、「租税条約等に基づく情報交換制度」を効果的に活用し、海外取引がある納税者、または、海外資産関連の税務調査を積極的に行うことを明言しています。

 

前回のブログ(平成27年12月3日付ブログ)でご説明したとおり「租税条約等に基づく海外の税務当局との間の情報交換」には、①要請に基づく情報交換、②自発的情報交換、③自動的情報交換の3形態があります。

 

このうち、自動的情報交換をめぐる国際的な取組みとして、OECDは海外の金融機関を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処する動きを見せています。平成26年には、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である共通報告基準(CRS: Common Report Standard)を公表しています。

 

同基準によれば、各国の税務当局は、自国の金融機関から非居住者の金融口座情報の報告を受け、租税条約の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。

 

この取組みがスタートすれば、日本の国税当局も外国の税務当局から日本の居住者がその外国の金融機関に保有する口座情報の提供を受けることになります。たとえば日本の居住者Aさんが外国X国に金融口座を持っている場合、日本の国税当局は外国X国の国税当局からその口座情報の提供を年一回、要請しなくても自動的に受けるのです。

 

この基準に対応するため、日本では平成27年度税制改正において、国内に所在する金融機関から口座保有者の氏名、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等の情報を報告させる制度を導入しています。当該制度は平成29年1月1日から施行され、平成30年4月30日までに国内に所在する金融機関から初回の報告、同年9月30日までに初回の情報交換がなされる予定です。

 

平成27年12月3日現在では、日本を含む53の国・地域(バミューダ、英領バージン諸島、ケイマン諸島などのタックス・ヘイブンを含む)が平成29年9月までに最初の情報交換を実施すると宣言し、その他22の国・地域は平成30年の実施を目指しています(OECDのHPによる)。

 

情報の交換が開始すれば、国税当局は「利子・配当等の年間受取総額」の情報から、海外金融資産から生じた利子・配当等で申告されていないものが把握可能となります。また、口座残高の情報から、当該金融資産を形成した所得で無申告のものの把握も容易です。

 

国税当局が、海外取引のある納税者の租税情報を海外からも入手できる時代。納税者は海外投資に係る税法や、税務コンプライアンスに関する理解を深め、それを遵守することが求められます。

 

以上

 

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海外国税当局への情報要請はアジアが70%

日本は95か国・地域との間に64の租税条約等を発効させています(平成27年12月1日現在。財務省HPによる)。これらすべての条約等には情報交換規定が設けられています。当該情報交換は、条約等の両締約国の税務当局間で納税者の取引などの税に関する情報を互いに提供する仕組みを言います。租税条約等に基づく税務当局間の情報交換には、①要請に基づく情報交換、②自発的情報交換、③自動的情報交換の3形態があります。

 

平成27年11月18日の国税庁発表によれば、平成26事務年度(平成26年7月~平成27年6月)の租税条約等に基づく情報交換実績の概要は以下のとおりです。

 

      租税条約等に基づく情報交換実績の概要(平成26事務年度)

図表82MJ41

 1.要請に基づく情報交換-日本から外国への要請はアジアが70

要請に基づく情報交換とは、個別の納税者に対する調査において、国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に、相手国・地域の税務当局に必要な情報の収集・提供を要請するものです。

 

【活用例】法人調査において、日本法人が、A国法人からの輸入取引に関してA国個人Bに手数料を支払っていたが、その役務提供の事実が確認できないことから、A国の税務当局に対して、その個人Bに支払った手数料に係る事実関係の確認を要請し、その結果、内国法人が手数料として支払った金員は架空手数料であることが判明した。

 

平成26事務年度に日本の国税庁から外国税務当局に発した要請件数は526件。地域別にみるとアジア・大洋州の国・地域向けの要請が396件で、全体の7割以上を占めています。外国税務当局から国税庁に寄せられた要請件数は125件でした。

 

2.自発的情報交換で積極的に国際協力

自発的情報交換は、自国の納税者に対する調査等の際に入手した情報で外国税務当局にとって有益と認められる情報を自発的に提供するものです。

 

【活用例】C国法人Dが日本法人に対して支払った外注費に関し、その支払が現金で行われるなどの理由により、日本法人において売上の計上漏れが想定される取引に係る情報を、C国の税務当局から受領するなどのケースがあげられます。

 

平成26事務年度に国税庁から外国税務当局に提供した自発的情報交換の件数は317件、他方、外国税務当局から国税庁に提供された件数は、1,258件ありました。

 

3.自動的情報交換で一括して情報をやりとり

自動的情報交換は、法定調書から把握した非居住者等への支払等(配当、不動産所得、無形資産の使用料、給与・報酬、キャピタルゲイン等)に関する情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付するものです。

 

【活用例】国税庁が外国税務当局から入手した海外金融機関からの受取利子に関する資料を基に、日本の居住者の申告状況を確認したところ、外国の銀行に預け入れた預金に係る利息が申告されていなかったことから、これを課税した。

 

平成26年事務年度に国税庁から外国税務当局に提供した自動的情報交換の件数は、約13万7千件、外国税務当局から国税庁に提供された件数は、約13万2千件でした。

 

***

 

国税庁は、近年、OECD租税委員会やG20で国際的な脱税及び租税回避行為に対処するための国際協力の機運が一層高まっていることを踏まえ、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換の積極的な実施に努めているとしています。

 

以上

 

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