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2014年11月

移転価格リスクと向き合う⑥
「OECD第1次BEPS成果物-行動計画8「無形資産に係る移転価格ガイダンス)」

本年9月16日に発表された、OECDとG20の共同プロジェクトに基づく多国籍企業の租税回避に対処する第1次BEPS提言では、15あるBEPS行動計画のうち、7つの行動計画について成果物が公表されています。   移転価格関連では、前回のブログで検討した行動計画13「移転価格関連の文書化及び国別報告書に係るガイダンス」と行動計画8「無形資産に係る移転価格ガイダンス」という二つの成果物が公表されています。今回は、後者について見ていくことにしましょう。   077c9dbb000b7fba7088d0abf7c9b4152 (シンガポールのヘッドフィッシュカレー)   行動計画8「無形資産に係る移転価格ガイダンス」(原題:Action 8: Guidance on Transfer Pricing Aspects of Intangibles)は、無形資産の分野で移転価格ルールの結果が価値創造と一致することを確保するための、既存のOECD移転価格ガイドラインの改訂を含んでいます。主たる内容は以下のとおりです。

 ① 無形資産を、「有形資産・金融資産ではなく、所有・支配することができ、同様の状況の非関連者間取引において、その使用または移転により報酬が生じる資産」と定義する。

 ② 無形資産の価格算定で信頼しうる比較対象取引が存在しない場合の評価手法として、DCF (Discount Cash Flow)法という将来の予想収益を現在価値に割引いて価格を算定する方法を導入する。

③ 価格付けが困難な無形資産の評価額算出方法等の残りの論点については継続して議論する。

  なお、無形資産に係る移転価格上の論点は、2015年9月を期限とするその他の移転価格関連の行動計画(行動計画 9及び10)とも関連するため、これらの検討結果も踏まえて、「移転価格ガイドライン」の改訂を実施していくことになっています。   以上

海外派遣社員と労災保険(日本の税務その他)

日本の労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)は、原則として、海外派遣社員の災害は対象外とされています。これは、労災保険の適用が、本来、労働者の日本国内における災害に限られているためです。   しかし、外国における同様の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分とは言えないケースがあると考えられることから、我が国では特別加入という制度が設けられていて、海外派遣社員についても日本の労災保険による保護を受けられるようになっています。 7935_1102164124840_1548827658_30252893_3239110_n-225x300 海外派遣社員が日本の労災保険の保護を受けるためには、国内の事業主が、以下の要件のすべてを満たした上で行政機関に申請をし、政府の承認を受けることが必要です。具体的には、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に特別加入申請書を提出することになります。
  1. 国内の事業について労災保険の保険関係が成立していること
  2. 国内の事業が継続事業であること
  3. 次のいずれかの者を派遣するものであること
    1. 日本国内の事業主から海外の事業に使用される労働者として派遣される者
    2. 日本国内の事業主から特定事業に従事させるために事業主その他の労働者以外の者として派遣する者

(注1)海外の事業については、有期事業でも可です。

(注2)特定事業とは、海外の事業が「常時300人以下(金融・保険・不動産・小売業は50人以下、卸売・サービス業は100人以下)の労働者を使用する事業」をいいます。

 政府により海外派遣者の特別加入が承認されると、原則として、一般的な国内の労働者と同様に保険給付等が受けられるようになりますが、二次健康診断等給付や特別給与を基礎とするボーナス特別支給金の給付は対象外です。   なお、海外派遣者ではない海外出張者の場合は、特別な申請をしなくても労災保険が適用されることになります。ここで問題となるのが、「海外派遣」と「海外出張」の違いです。一般的には、海外の事業所に所属をして海外の事業主の指揮に従って勤務する場合は「海外派遣」であり、国内の事業所に所属をして国内の事業主の指揮に従って勤務する場合は「海外出張」と区別されています。   しかし、実務上は「海外派遣」と「海外出張」の区別が困難なケースが見受けられます。また、労災保険の特別加入制度への加入は任意であり、加入するか否かは派遣元である事業主の意思に任されています。いざという時のために、日本の労災保険への加入について、事前に所轄労働基準監督署などに相談しておくのもよいと思われます。 (Y.M.)

移転価格リスクと向き合う⑤
「OECD移転価格文書化と国別報告に係るガイダンス
(OECD移転価格ガイドライン第5章改訂版)」第2回

前回(2014年11月4日)のブログに引続き、2014年9月16日に公表された「OECD移転価格文書化と国別報告に係るガイダンス(Guidance on Transfer Pricing Documentation and Country-by-Country Reporting)」(OECD移転価格ガイドライン第5章(文書化)改訂版)を見ていきましょう。 インドネシア バンドゥン イチゴ狩り(インドネシア バンドゥン イチゴ狩り) 同ガイダンスでは、多国籍企業に、①マスターファイル、②ローカルファイル、③国別報告書(Country-by-Country Reporting:以下CBCレポート)という三つの共通様式に従って、移転価格リスク評価のための情報の税務当局への提出を義務付けることを勧告しています。   2014年1月30日に公開された同ガイダンス草案では、移転価格文書の構成について、マスターファイルとローカルファイルの2層構造アプローチを採用し、CBCレポートはマスターファイルの一部とされていました。今回公表された同ガイダンス改訂版では、3層構造アプローチが採用され、CBCレポートはマスターファイルとは切り離されて、別個の文書となりました。   【2014年1月30日草案】 2層構造アプローチに基づく移転価格文書
 ① マスターファイル
  • ・基本情報
  • ・CBCレポート
 
 ② ローカルファイル
  •   ・関連会社の取引情報
【2014年9月16日改訂版】 3層構造アプローチに基づく移転価格文書
① マスターファイル
② ローカルファイル
③ CBCレポート
  3つの共通様式の概要は、以下のとおりです。   【3つの共通様式の概要】
様式名 作成者 概要 内容
マスターファイル 親会社 多国籍企業グループ全体に共通する基本情報
  • ● グループの組織図
  • ● 事業概要
  • ● 保有する無形資産の情報
  • ● グループ内金融活動に関する情報
  • ● グループ全体の財務状況と納税状況
 
ローカルファイル 親・子会社がそれぞれ作成 各国に所在する親会社・子会社が行うグループ内取引の情報(取引価格の算定方法)
  • ● 組織図
  • ● 経営戦略
  • ● 主要な競合他社
  • ● 主要な関連者取引と取引背景
  • ● 移転価格算定根拠
  • ● 財務諸表
 
CBCレポート 親会社 親会社・子会社の所在国ごとの多国籍企業グループの収入・利益・税額等の財務情報等  親会社・子会社所在国ごとの多国籍企業グループの以下の情報
  • 収入・利益・税額・資本金等の財務情報
  • 従業員数
  • 有形資産額
  • 子会社等の名称及び主要事業等
 
    上の3つの共通様式のうち、企業が現在各国に提出している移転価格文書は、ローカルファイルに近いものです。よって、マスターファイルとCBCレポートの作成時間とコストが追加的にかかることになります。   OECDは、今後さらに、マスターファイルおよびCBCレポートの実行および提出方法について協議を行うということです。結論は、2015年1月が予定されています。     以上  

移転価格リスクと向き合う④
「OECD移転価格文書化と国別報告に係るガイダンス
(OECD移転価格ガイドライン第5章改訂版)」 第1回

2014年10月28日のブログでお知らせしましたとおり、OECDは、9月16日、「多国籍企業の租税回避に対処する第1次BEPS提言」を発表しました。その中で、BEPS行動計画13における行動(移転価格関連文書化の再検討)に係る勧告として、「移転価格文書化と国別報告に係るガイダンス(Guidance on Transfer Pricing Documentation and Country-by-Country Reporting)が公表されています。 IMG_0738-300x224 今回、公表された同ガイダンスは、2014 年1月30日に草案が公開された後、各方面の意見を反映して修正が行われています。なお、同ガイダンスは、移転価格文書に関してOECD加盟国共通で採用すべき指針である、「OECD移転価格ガイドライン第5章(文書化)(1995年版)」の改訂版となるものです。   OECDは、日本を含む加盟各国が、同ガイダンスを検討し、2020年末までに国内法の見直しを行うよう勧告しています。よって、日本でも、遅くても2020年末までには、同ガイダンスを考慮した移転価格の文書化に係る国内税法の改正が行われることが予想されます。   したがって、移転価格の文書化に当たっては、OECDの今回、及び、今後の勧告、さらに、それらに基づく国内税法の改正の動向も見据えて進めていく必要があると思われます。   同ガイダンスの大枠は以下の通りです。   【移転価格文書化と国別報告に係るガイダンス】 (Guidance on Transfer Pricing Documentation and Country-by-Country Reporting) (OECD移転価格ガイドライン第5章改訂版)
第5章 文書化  A. 導入 B. 移転価格文書化の目的 C. 移転価格文書化の三層構造アプローチ D. コンプライアンスに関する論点 E. 執行とレビュー   別添1:マスターファイル 別添2:ローカルファイル 別添3:CBCレポート標準様式
  次回からは、同ガイダンスを掘り下げて行きます。   以上  

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