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インドネシア・シンガポール・タイのBEPS最終報告書への対応状況 (その2)(移転価格文書化)

移転価格リスクと向きあう⑭
インドネシア・シンガポール・タイのBEPS最終報告書への対応状況 (その2)(移転価格文書化)

前回に引続き、インドネシア、シンガポール、タイの3か国がBEPS*を踏まえてどのような税制改正を実施しているのか、または未対応なのか見て行きます。今回はBEPS行動計画13 (多国籍企業の企業情報の文書化)についてです。

 

*BEPSとは、Base Erosion and Profit Shifting の略(日本語訳は「税務浸食と利益移転」)で、多国籍企業が各国の税制の違いや租税条約等を利用して所得を軽課税国・無税国に移転し、グローバルに租税負担を免れていることを指します。

 

海外でビジネスを行う日本企業は、日本の移転価格文書化規定を遵守するだけでなく、進出先国の文書化規定に従う必要があります。よって、OECDが2015年10月に公表したBEPS最終報告書を踏まえて、移転価格文書化に関する進出先国の税制改正の実施状況を把握することは非常に重要です。

 

経産省報告書では、ASEAN諸国のうち、インドネシア、シンガポール、タイの3か国を対象に、この問題について調査しています。当該ASEAN3か国の対応状況は下記のリンク先の表のとおりです(経産省報告書巻末の「諸外国におけるBEPS最終報告書への対応状況・動向調査」の表より抜粋)。

 

【図表】 諸外国におけるBEPS最終報告書への対応状況・動向調査 ← こちらをクリック

 

上記の表からもわかるように、日本においては、本年度(平成28年度)の税制改正で、BEPS最終報告書に沿った移転価格文書化制度が導入されました。それに対しインドネシア、シンガポール、タイは、ほぼ未対応となっています。

 

【インドネシア】

インドネシアにおいては、現行では、関連者との取引金額合計が取引先毎に年間100億インドネシアルピア以上である会社に対して、移転価格文書の作成を義務付けています。

 

移転価格文書は、法人税申告時までに作成・保存すること(同時文書化)が義務付けられています。また、インドネシア国税当局から要請があれば、通常7日(最大30日まで延長可)以内に提出する必要があります。

 

インドネシアでは、BEPS最終報告書で提示されている国別報告書、マスターファイル及びローカルファイルの作成を義務付ける内容の規則が、2016年内に制定される予定です。ただし、2016年1月27日に締結された「国別報告書の自動的情報交換に関する多国間合意」には、参加していません。

 

【シンガポール】

2015年1月に公表したガイドラインで移転価格文書化が義務化され、取引の性質及び金額が一定の要件を満たす関連者間取引を行った納税者は確定申告書の申告期限までに移転価格文書の作成(同時文書化)が義務付けられています。また、税務当局の要求があれば30日以内に当該文書を提出しなければなりません。

 

シンガポールは、移転価格文書化に関するBEPS最終報告書には対応しておらず、2016年1月27日に締結された「国別報告書の自動的情報交換に関する多国間合意」にも参加していません。

 

【タイ】

タイでは、現行において同時文書化の規定はありませんが、移転価格ガイドラインによって、税務調査のために要求される10の書類が提示されています。

 

2015年5月7日に移転価格に関する歳入法の改正法案の方針が内閣で承認され、今後国民立法会議の承認を得て、法律として成立することが予想されます。この法案では、納税者は、事業年度終了日から150日以内に移転価格に関する書類を提出するか、またはタイ国税当局に提出する税務申告とともにステートメントを開示することが要求されています。

 

タイは、移転価格文書化に関するBEPS最終報告書には対応しておらず、2016年1月27日に締結された「国別報告書の自動的情報交換に関する多国間合意」にも参加していません。

 

*  *  *

 

上記ASEAN3か国については、移転価格文書化に関するBEPS最終報告書に関し、ASEAN唯一のG20加盟国であるインドネシアが、非参加国であるシンガポール、タイよりも対応が進んでいるものの、未対応の部分がほとんどです。

 

今後は、日本において導入された移転価格文書化規則を遵守するとともに、進出先国の税制改正の動向を注視して速やかに対応し、税務コンプライアンスに努める必要があるでしょう。

 

 以上

 

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