タイ・インドネシア・フィリピンへの進出支援、進出後の会計・税務管理を支援する会計事務所

タイ・インドネシア・フィリピンの会計や税務ならAsahi Networks

ホーム > ブログ > 〈国際税務の概要〉コーナーの『移転価格税制』をアップデートしました。

〈国際税務の概要〉コーナーの『移転価格税制』をアップデートしました。

〈国際税務の概要〉コーナーの『移転価格税制』をアップデートしました。今回は、日本の平成28年度税制改正を織り込み、移転価格文書化の新しい制度(国別報告事項、マスターファイル、及び、ローカルファイル)についてもご説明しております。

 

【移転価格税制とは】

移転価格税制は、「あるべき移転価格で海外子会社と取引をすることを求める税制」ということができます。あるべき移転価格とは、親会社と海外子会社が、共に適正な利益を確保できる、親会社と海外子会社間の取引価格をいいます。税法ではこれを独立企業間価格と呼んでいます。

 

ここで、日本の親会社Xが海外子会社Yに販売する製品Aの価格を、通常の価格が100万円であるにもかかわらず50万円に設定したと仮定します。このとき、日本の親会社Xの利益は通常より50万円少なくなります。移転価格の税務調査が入った場合、日本の税務当局は、50万円の所得が日本から海外に移ったものと考えます。そして、独立企業間価格である通常の価格100万円で製品Aが販売されたものとみなし、差額の50万円を所得に加えて、追徴税を課す恐れがあるのです。

 

この時、日本の親会社Xが所得を上記のように増額修正されたとしても、海外の税法上、子会社Y の所得を対応的に減額することはできません。よって、同じ所得に対し、日本と海外で二重課税が生じてしまいます。反対に、上記の例で、通常の価格100万円を150万円に価格設定したとすれば、海外子会社の所得が減少しますので、海外で追徴税を課される可能性が発生します。これが、海外ビジネスを展開する上での移転価格リスクです。

 37ec94ab5610da10e82d481797431276-1024x768

【独立企業間価格の算定方法】

日本の税法上、独立企業間価格については、① 独立価格比準法(CUP法)、② 再販売価格基準法(RP法)、③ 原価基準法(CP法)、④ ①~③までの方法(基本三法)に準ずる方法、⑤ 利益分割法(PS法)、⑥ 取引単位営業利益法などの算定方法の定めがあります。

 

独立企業間価格は、海外子会社等との間の国外関連取引の内容及び当該取引における当事者が果たす機能その他の事情を勘案して、独立企業原則に一致した「最も適切な方法」を選定する必要があります。

 

【移転価格文書とは】 

(平成28年度改正:国別報告事項、マスターファイル、ローカルファイル

移転価格に係る税務調査において、税務当局に対抗するには、納税者は海外子会社との取引価格が上記の算定方法に基づき算出された独立企業間価格であることを証明する必要があります。その根拠を示すために準備する文書が移転価格文書です。

 

日本では、平成28年度の税制改正において、原則として、3つの移転価格文書(国別報告事項、マスターファイル、ローカルファイル)の提出、または、作成・保存が義務化されました。このうち、国別報告事項とマスターファイルは、平成28年4月1日以後に開始する会計年度において、直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上の多国籍企業グループに提出義務が課されています。

 

一方、ローカルファイルは、平成29年(2017年)4月1日以後に開始する会計年度における海外子会社等との前期の取引金額(受払合計)が50億円以上(無形資産取引の場合は3億円以上)の場合、確定申告書の提出期限までに作成し(同時文書化義務)、原則として、7年間保存する義務があります。

 

ただし、当該同時文書化義務が免除されている場合でも、税務調査等で要請があった場合に60日以内に提出しなければ、国税当局は推定課税及び同業者調査を行うことができることに注意して下さい。

 

ここで、推定課税とは、税務当局が質問権等で類似の取引を行う第3者から入手した情報に基づき行う課税です。企業が、このような推定課税を避けるためには、ローカルファイルの作成・保存が必要なのです。

 

ASEAN諸国の移転価格税制】

ところで、ASEAN諸国をはじめ、多くの新興国・途上国においても、この10年余りの間に次々と移転価格税制が導入されています。したがって、海外子会社の側からみた移転価格リスクも考慮することが不可欠です。

 

ASEAN諸国のうち、2014年現在移転価格税制を採用しているのは、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、未採用の国は、カンボジア、

ブルネイ、ミャンマー、ラオスです。未採用の国であっても、あるべき移転価格を考慮する必要があります。なぜなら、それらの国では、所得の国外移転に関して税務当局に課税する裁量を与えているからです。

 

なお、移転価格に関して、日本の税制上、所得の更正処分等を受けた場合には、納税者の権利を救済する制度が設けられています(国際税務行政と権利救済参照)。

 

 

以上

 

************************************************

朝日ネットワークスグループは、日本の朝日税理士法人と連携して、移転価格文書化に係る各種サービスを提供しております。ご質問・ご相談等ございましたら、当HPの「資料請求・お問い合わせ」よりお気軽にお問い合わせ下さい。

ホーム > ブログ > 〈国際税務の概要〉コーナーの『移転価格税制』をアップデートしました。