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OECDのBEPS行動計画6「租税条約の濫用防止」勧告を踏まえて(日本の税法)

日本でも富裕層の保有株式への出国税を検討
OECDのBEPS行動計画6「租税条約の濫用防止」勧告を踏まえて(日本の税法)

平成27年度の日本の税制改正では、一定規模の有価証券を保有する富裕層を対象に、保有株式への「出国税(Exit Tax)」を課すことが検討されることになりました。これは、財務省が10月21日の政府税制調査会第5回基礎問題小委員会で明らかにした方針です。

 

  「出国税」は、日本の個人富裕層が日本を出国して非居住者となる際に、保有する株式等の含み益に課税するというものです。すなわち、未実現のキャピタルゲインが課税されます。アメリカ、ドイツ、フランス、カナダ、イギリスなどでは、すでに導入されています。

 

一般に日本の締結している租税条約上、株式等の含み益については株式等を売却した者が居住している国に課税権があるとされています。ここで、日本ではキャピタルゲインには現行では20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかりますが、シンガポール、香港、ニュージーランド、スイスなどのキャピタルゲインの非課税国に移住することによって、この税負担を回避するという節税スキームが生まれてくるのです。

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当該、「出国税」については、以下のような問題点・疑問点が浮かんできます。

  • 含み益への課税のため、納税資金がなかったり、出国後に株式等を売却せずに日本に帰国したりすることも考えられる。よって、延納や納税猶予などの措置が必要ではないか?
  • 出国先は“非課税国”に限定されるのか?
  • 出国先が“非課税国”だが、その後、キャピタルゲイン課税国に移住し、株式等の譲渡益が課税された場合、二重課税は排除できるのか?
  • 二重課税の排除は、課税のタイミングが同時でないと基本的には排除できないが、出国先において譲渡した際、その取得原価は出国時に課税された時の時価とみなすような措置が必要ではないか?

 ところで、「出国税」創設の検討は、本年9月16日に発表されたOECDの第1次BEPS提言のうち、行動計画6「租税条約の濫用防止」に係る勧告を踏まえています。

*BEPSとは、Base Erosion and Profit Shiftingの略(日本語では、「税源浸食と利益移転」)で、多国籍企業が各国の税制の違いや租税条約等を利用して所得を軽課税国・無税国に移転し、グローバルに租税負担を免れていることを指します。

条約漁り(Treaty Shopping)(第3国の居住者が不当に条約の特典を得ようとすること)をはじめとした租税条約の濫用は、BEPSのもっとも重要な原因の1つとなっています。   今回公表されたOECDの報告書では、以下のような勧告がなされています。

  1. 租税条約の前文に、租税条約は条約漁りを通じたものを含め、二重非課税の創出や租税回避・脱税による税負担軽減を目的とするものでないことを明記する。
  2.  租税条約に次のいずれかの組み合わせ等による濫用防止規定を盛り込むこと。

① 特典制限規定(Limitation on Benefit: LOB)と主要目的テスト(Principal Purpose Test: PPT)の両方

② PPTのみ

③ LOB及び租税条約上または国内法上の導管取引防止規定(限定PPT)

あわせて、租税回避防止のための国内法が条約との関係で確実に適用できるよう、適切な措置を講じることを勧告しています。この勧告を踏まえて、上記の「出国税」創設が検討されています。我々としては、OECDの今後のBEPS報告書における勧告にも注意しながら、当面は年末の税制改正大綱の取りまとめに向けた税制調査会の「出国税」創設についての議論の推移を注視する必要があるでしょう。

 

以上

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