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ASEANビジネスにおける移転価格リスク その2 無形資産のロイヤリティ(日本の税務)

日本企業が生産拠点をASEAN諸国に移転し製造した製品を販売する場合、親会社である日本本社との商流を通すことのない、いわゆる、「外-外取引」の形態が採られることが少なくありません。すなわち、ASEAN国の製造子会社が原材料を現地で調達し、製品を直接、現地の市場や第三国へ販売するという形態です。 IMG_0617(Thailand) この際、日本の親会社は、ASEAN国の製造子会社に対し、特許等をはじめ、製造マニュアル、製造管理技術、品質管理技術などの製造ノウハウ等を提供する形で関与することが通常であります。   これらの製造ノウハウ等は、独立した第三者との取引であれば、当然、有償で取引される無形資産と言えるでしょう。よって、日本の親会社が当該無形資産のロイヤリティ(使用料)をASEAN国の製造子会社から受取らないか、または、それが低料率である場合には、日本の移転価格税制上、問題となってきます。   ところで、製造業、特に自動車部品製造業界では独立第三者間取引において3~5%程度のロイヤリティ料率が使用されていることから、ASEAN製造子会社との取引においてもその程度の固定ロイヤリティを設定しているケースが多く見受けられます。   しかし、独立第三者間取引におけるロイヤリティ料率は、多くの場合、特許の使用許諾に限定して設定されています。よって、海外子会社に、特許だけでなく、すべての技術の提供、経営戦略の指示、設備投資等の判断等、広範な製造ノウハウを提供しているケースについて、当該ロイヤルティ料率をそのまま利用することは移転価格税制上、合理的とは言えません。   日本の移転価格税制の下で、合理的なロイヤリティ料率を算定する際は、海外製造子会社の営業利益をベースに計算する、「取引単位営業利益法(TNMM法)」を使用することが実務では主流です。この方法は、海外製造子会社の営業利益からその貢献相当分を差し引いた残余利益を無形資産のロイヤリティとするものです。当該貢献相当分の測定は、類似企業のデータが用いられるなど、複雑なものとなっています。   日本の視点からのみ述べてきましたが、注意すべきは、ASEAN諸国の税務当局による海外子会社の税務調査で、このような日本の親会社への無形資産のロイヤリティの支払いが税務上否認されることが少なくないということです。   日本と進出先のASEAN国の両国の税務調査に耐えうる合理的な無形資産のロイヤリティ料率の算定は容易ではありませんが、両国において移転価格に係る所得の更正リスクを排除するためには、少なくとも文書化による対応、リスク想定額が高額になると推定される場合には、事前確認制度を利用する対策が必要かと思われます。

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